研究概要 |
<平成21年度に実施した研究の成果> 研究の全体構想として、アメリカ文化のなかの黒人文化を歴史的に把握したうえで、黒人の演劇を奴隷制時代から現代まで、たとえば、アイラ・オールドリッジの『黒人の医者』からオーガスト・ウィルソンの『ラジオ・ゴルフ』に至るまで、一つ一つの戯曲を精査して、黒人演劇が歴史的にどのように発展し展開されてきたかを考察して、黒人演劇としての独自の特徴を見出すことを具体的な目的とする。 (1)研究成果の具体的内容 共訳「アイラ・オールドリッジ著『黒人の医師』」、『日本大学生産工学部研究報告B』42(平成21[2009]年6月20日)、pp.117-146.(共訳者:福島昇)を出版した。共著「黒人俳優アイラ・オールドリッジの生涯について」、『日本大学生産工学部研究報告B』42(平成21[2009]年6月20日)、pp.1-8.(共著者:福島昇)を出版した。 そのほか、責任編集「ポスト・ソウルの黒人文化」、『水声通信』29号(平成21[2009]年3月/4月号),pp.79-203.を刊行し、アメリカ文化のなかの黒人文化を歴史的に把握する助けとした。 "Teaching Richard Wright's Haiku in Japan." The Black Scholar 39 (1-2) (Spr.-Sum. 2009) : 59-62.(木内単著)を出版して、黒人文化を歴史的に把握する助けとした。 (2)研究成果の意義と重要性 アメリカ本国における黒人演劇に関するほんの一部の研究の流れであるが、日本ではあまりにこの黒人演劇の視点による研究が少ない、あるいは皆無と言ってよい。演劇という、文学のなかでも、特殊な表現形式に関して、黒人演劇という視点を通して、日本人の目をとおした研究に先鞭をつけた点では大きな意義があると自負する。これによって一つの大きな黒人演劇の流れをつかむ端緒となったことは大いに意義があり、本研究の重要性が確認できた。
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