研究概要 |
<平成25年度に実施した研究の成果> 研究の全体構想として、アメリカ文化のなかの黒人文化を歴史的に把握したうえで、黒人の演劇を奴隷制時代から現代まで、一つ一つの戯曲を精査して、黒人演劇が歴史的にどのように発展し展開されてきたかを考察して、黒人演劇としての独自の特徴を見出すことを具体的な目的とする。本年は5作目の19世紀戯曲であるポーリーン・エリザベス・ホプキンズの戯曲『変わり者サム、あるいは地下鉄道』についての研究と翻訳を行った。 1. 研究成果の具体的内容――「異端の寵児――ポーリーン・エリザベス・ホプキンズの戯曲『変わり者サム、あるいは地下鉄道』について」、『日本大学生産工学部研究報告B』45(平成24[2012]年6月20日)、pp. 21-27.(共訳者・福島昇)に掲載した。それに関して、文学史の意味を問うために、Richard Wright: A Documented Chronology, 1908-1960. Toru Kiuchi and Yoshinobu Hakutani. Jefferson, NC: McFarland, 2014. 2. 研究成果の意義と重要性―― アメリカ本国における黒人演劇に関するほんの一部の研究の流れであるが、日本ではあまりにこの黒人演劇の視点による研究が少ない、あるいは皆無と言ってよい。演劇という、文学のなかでも、特殊な表現形式に関して、黒人演劇という視点を通して、日本人の目をとおした研究に先鞭をつけた点では大きな意義があると自負する。これによって一つの大きな黒人演劇の流れをつかむ端緒となったことは大いに意義があり、本研究の重要性が確認できた。
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