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2009 年度 実績報告書

ジェイムズ・ジョイス初期作品から『ユリシーズ』に至る人間身体の表象

研究課題

研究課題/領域番号 21520287
研究機関早稲田大学

研究代表者

坂内 太  早稲田大学, 文学学術院, 講師 (60453990)

キーワードジェイムズ・ジョイス / ユリシーズ / 身体表象
研究概要

本研究は、アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの初期短編から長編『ユリシーズ』にいたる諸作品の人間身体及びテクノロジーの表象を精査することにより、ジェイムズ・ジョイスの主要作品を巡る身体表象分析を展開することを目的としている。
本年度は、ジェイムズ・ジョイスが批判的距離を示したW.B.イェイツによる1900年代初頭の演劇運動、なかでもイェイツの運営するアビー劇場で1907年に上演されたJ.M.シングの劇作品(『西の国のプレイボーイ』)における身体表象とジョイス作品との比較検証を試みた。その結果、鏡および鏡に映る身体とその鏡像の受容、父子関係を中心とする他者との関係の変容を望む主人公の傾向と言動の描写、両者の作品における鏡像モチーフと作品構造の関係、また、両者における身体変容モチーフの展開に着目することで、ジョイスが登場人物を通じてイェイツの演劇運動とそこから生じてきた主題や身体表象等に対する批判的言説を作中で発していながら、特定の挿話では、それらを継承していると評価できる側面があることを明らかにした。
とくにシングによる鏡像の表象が、否定的な歪曲から自己評価の増長(肯定的な歪曲)を経て、鏡像そのものの放棄と本質的な身体変容に移行する点、また同様な構造が『ユリシーズ』の複数の挿話を通じて仕組まれている点を指摘することで、前者の主題が『ユリシーズ』の-挿話のモチーフのみならず、作品の構造部分にも大きな影響を与えていることを明らかにした。
次年度は、こうした成果を踏まえて、上記の演劇運動の時期と執筆時期が重なるジョイスの初期短編に対する身体表象分析を進めたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Body and Theatre in 'Circe' of James Joyce's Ulysses2010

    • 著者名/発表者名
      坂内太
    • 雑誌名

      演劇映像学2009 第3集

      ページ: 251-261

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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