研究課題/領域番号 |
21520292
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中 良子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50237195)
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研究分担者 |
渡辺 克昭 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10182908)
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | ドキュメンタリー / アメリカン・ロード / William Faulkner / Eudora Welty / John Steinbeck / Erskine Caldwell / Don DeLillo / Susan Sontag |
研究概要 |
本年は、今までの研究成果を論文にまとめ、また、共著書として出版する準備を行った。中と花岡は、1930年代アメリカのドキュメンタリー・ムーヴメントに注目し、同時代に活躍した作家の作品におけるドキュメタリーの回路を探った。中は、ウェルティが写真によって南部を捉えるドキュメンタリー的視点と物語を創造する視点の相互関連性を探り、それがイノセンスという作家独自の視点であることを南部の歴史的文脈において明らかにした。さらにスタインベックの『怒りの葡萄』をドキュメンタリー作品として読み解くことで、30年代のドキュメンタリー的想像力についての考察を行った。花岡は、本質的にドキュメンタリーの要素を色濃く映し出す年代記(サーガ)という形式に着目し、ウィリアム・フォークナーと倉橋由美子の文学テクストの比較、検証を行い、文学とドキュメンタリーの関係を探る視座を模索した。さらに、アメリカン・ドリームの生成に深く関わると同時に、写真、映画、ドキュメンタリーを始めとするあらゆるメディアと興味深い共振を響かせてきたアメリカン・ロードをめぐる想像力に注目し、アースキン・コールドウェルの『タバコ・ロード』に描き込まれた南部のロードの光と影を考察した。渡辺は、ドン・デリーロの『ポイント・オメガ』のプロローグとエピローグで描かれた超スローモーション・ヴィデオのインスタレーションを手掛かりに、短編「もの食わぬ人」をシネマ・ロード・ナラティヴとして読み直し、シネマという「生きた静物画」に秘められた生成変化の開かれた時間相を明らかにした。さらに、スーザン・ソンタグの『火山の恋人』に着目し、主人公ウィリアム・ハミルトンが画家に描かせたヴェスヴィオ火山の精緻な色刷り図版付き豪華本『火の平原』を、当時最先端の彩色技術を駆使した火山観測ドキュメンタリーとして捉えることにより、両者のインタラクティヴな間テクスト性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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