• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

日米カリブ海文化に関する比較文学的家族論

研究課題

研究課題/領域番号 21520299
研究機関関西学院大学

研究代表者

橋本 安央  関西学院大学, 文学部, 教授 (60300274)

キーワードHerman Melville / Typee / Omoo / Moby-Dick / 暴力 / 風景画 / 天地創造 / 自然
研究概要

今年度については、19世紀アメリカ文学、とりわけHerman Melvilleの初期作品TypeeとOmoo、および代表作Moby-Dickをめぐり、家族論の基盤として、「暴力」と国家、「暴力」と個人の関わりを精査した。その際に、アメリカ西部の開拓史の過去と現在を、フィールドワークをつうじて確認した。
Melvilleの初期作品には、開墾と産業主義化が進むなかで、初期植民者たちが当初抱いていた、新世界の「自然」の圧倒的な風景という理想像が喪われつつある、19世紀中葉の時代が反映されている。そのような時代において、新世界から南海に浮かぶ島々をながめるMelville初期作品の語り手のまなざしには、あるべきはずの「自然」の喪失感を補いつつ、かつ文明論をとおして新大陸を旧大陸と同等に位置づけんとする欲望の力学が働いている。そうした点を、アメリカの風景美学と地質学、考古学なども参照しつつ検討した。他方、Moby-DickにおけるAhab船長は、とりわけカウンターカルチャー以後、圧政的な暴君であるとの解釈が定番となっている。だが、その「暴力」の姿には、天地創造の驚異と崇高の概念につらなる火山のイメージも重ねられている。そしてまた、AhabがMoby Dickとの直接対決を挑まんとする営みには、自身が涙から、そして季節のサイクルから疎外されているとの自意識も連動している。そのような複雑なAhabの暴力性のありようを、精読をつうじて明らかにした。
これらの成果は、別記にある学会においてそれぞれ公表したが、追って出版のかたちで一般に供する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 追憶のなかの南海-TypeeとOmooをめぐって2009

    • 著者名/発表者名
      橋本安央
    • 学会等名
      日本ナサニエル・ホーソーン協会関西支部
    • 発表場所
      関西大学
    • 年月日
      2009-12-25
  • [学会発表] 『白鯨』-精読の冒険2009

    • 著者名/発表者名
      橋本安央
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会関西支部
    • 発表場所
      相愛大学
    • 年月日
      2009-09-12

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi