研究概要 |
本年度は、初年度に引き続き情報収集を中心に進めた。英国の児童文学関連書のうち、限定版で復刻している資料、たとえばLiterary Fairy Tales by Women Writers, The Fairy Book, Fairy Tales and Romances, Atalantaなど、できるだけ多くの資料を入手した。また昨年収集したヴィクトリア朝女性作家の投稿小説集New Women Fiction, Female Gothicの続きに加え、Nineteenth Century Labouring Class Poetsなども入手した。そこから、散文だけではなく韻文における英国女性作家たちの作品の変遷をたどり、女性作家による児童文学の発展へと至るまでの過程を振り返った。さらに英国の図書館でしか閲覧できない資料については、授業期間外等を利用して現地へ収集に赴き、できるだけの資料を閲覧・収集した。 そして、昨年に引き続き、ロンドン内外の博物館などで開かれる女性児童文学作家の回顧展に足を運び、彼女たちの現地での発掘や受容の様子を垣間見ることができた。同時に、日本国内で開催されている日本の女性児童文学作家の回顧展にも赴き、比較文学的な観点から彼女たちの発掘と受容の状況を見直すことができた。 このように収集した情報や資料を基にして、昨年度に引き続き、英国女性児童文学作品の日本における受容史を明らかにしつつ、英国と日本の児童文学がいかに成立し発展してきたのかを考察し、英国と日本の女性作家たちの埋もれた作品を掘り起こす作業を進めた。
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