研究概要 |
アメリカ環境文学のグローバルな影響力を、自然表象の変遷や流れのなかで検討し、環境文学の汚染というテーマがどのような身体表象を伴っているかを考察することが本研究の目的で、3つの焦点があった。 1.アメリカの女性環境文学作家の汚染のテーマの展開研究。 成果の図書1、『オルタナティヴ・ヴォイスを聴く』の以下の5つの分担執筆に成果を見た。 (1)「環境文学とエコクリティシズムの現在」-全体の序論pp.3-11 (2)「薬品汚染と女性ドキュメンタリーの世界」-DVDの作品の意義と解説 Sandra Steingraber,Rachel's Daughters(1997) ; Judith Helfand and Daniel B. Gold,Blue Vinyl(2002)『レイチェルの娘たち』/『青いビニール』 (3)身体のトラウマとメモワールの文体-有害化学物質の汚染についての作品と文体 Susanne Antonetta,Body Toxic : An Environmental Memoir(2001) スザンナ・アントネッタ『汚染の身体-環境的追想記』 (4)原爆製造と土地の簒奪、語りによる歴史の回復--ハンフォードにおける汚染と農家を書いた作品 Teri Hein,Atomic Farm Girls(2000)テリ・ヘイン『ハンフォードの農家の娘達』 (5)自然の再発見--失われたエデンとゴシック・ネイチャー-オーツの作品の自然表象の研究 Joyce Carol Oates,By the North Gate(1963) ; Upon the Sweeping Flood(1968) ジョイス・キャロル・オーツ『北門の傍で』/『洪水に流されて』 2.アメリカのゴシック文学の特異な自然表象分析で、身体にかかわる自然表象を、ゴシック・ネイチャーとして定位し、ゴシックの伝統のポストモダン性を解明。以下の成果に結実した。 共著、『カウンターナラティヴで語るアメリカ文学』(2011年10月音羽書房鶴見書店刊行予定)のまえがき「ソロー、カーソン、広島」と第4章「ポーのキメラとゴシック・ネイチャー-いきもの表象の多層構造をめぐって」。 3.2011年6月21日より米国Indiana大学で開催されたASLE(文学環境国際学会)年次大会における口頭発表。 発表論文名"Memoiras a Style of Nuclear Toxic Literature"。関連の汚染をテーマとするセッションについて参加し新しい知見を得たので、機関誌ISLEへの投稿にはさらに吟味が必要で来年にまで延長した。
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