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2009 年度 実績報告書

ジェイムズ・シャーリーの『宮廷の秘密』の手書き原稿と出版テキストとの比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21520308
研究機関福島工業高等専門学校

研究代表者

石原 万里  福島工業高等専門学校, 一般教科(英語), 教授 (70280344)

キーワードチャールズ朝演劇 / manuscript / James Shirley / 王政復古 / 劇場閉鎖
研究概要

The Court Secretは、1642年の劇場閉鎖の年に、King's Menの座付き作家であったJames Shirleyによって書かれ、1660年の王政復古を経て、1664年上演された希有な作品である。テキストは王位不在の時代、1653年にHumnhrey Moseleyによって出版されている。Oxford大学Worcester Collegeにおいて、The Court SecretのManuscriptに直接あたり、滞在期間内で可能な限りテキストを解読し、出版テキストとの比較を行なうとともに、加筆削除修正部分を細かく分析した。Manuscriptは、出版テキストに比べて、完成度が高く、主役の王侯貴族に加えて、主従関係にも重点がおかれ、身分の低い者に名前がつけられ、セリフが割り当てられている。出版テキストが非常に込み入った印象を与えるのに比べて、Manuscriptは話の流れがわかりやすい。両テキストを比較すると、同じ語句を使いながちその語句が別の人の台詞になっていたり、同じ語句を使いながら話の展開が異なっていることから、Shirleyが、両方のテキストのもとになった草稿を目の前におきたがら、手を加えて書き上げだことがわかる。Manuscriptの修正部分では、入退場が加筆され、身分の低い者達の役が削除されており、上演する劇団にあわせての修正と考えられる。Shirlev本人によって加筆されたと考えられている箇所に関しては、さらなる吟味が必要である。
The Court Secretの前に書かれ、劇場閉鎖の直前に上演されたThe Sistersでは、偽物の公爵が公爵よりも生き生きと描かれている。Julie Sandersも指摘していることだが、チャールズ一世をパトロンに抱いたKing's Menの座付き作家であり、王党派の一員と目されていたShirleyの、王への複雑な気持ちを反映したものと考えられる。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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