研究分担者 |
阿部 宏慈 山形大学, 人文学部, 教授 (10167934)
中村 隆 山形大学, 人文学部, 教授 (00207888)
中村 唯史 山形大学, 人文学部, 准教授 (20250962)
渡辺 将尚 山形大学, 人文学部, 准教授 (90332056)
齋藤 哲也 山形大学, 人文学部, 講師 (10507619)
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研究概要 |
本研究の参加者たちは,平成22年度中に2回の研究会を開いた。1度目は夏の終わりにペテルブルグへ出張した相澤直樹が,19世紀を代表するジャーナリストでもあったネクラーソフとパナーエフの居所と仕事場を兼ねた住居を保存・展示してある市内の「ネクラーソフの家=博物館」と,ベリンスキー,ツルゲーネフはじめ著名な文学者たちが眠る,郊外のヴォルコヴォ墓地への訪問についての報告からはじめ,サロンの中での「声とテキスト」の生成のされ方,追悼演説の役割と意義について考察した。2回目は齋藤哲也がシュルレアリスム運動の中心に位置する「オートマティスム」(自動記述)の問題について,従来語られてきたような,ロマン主義的なインスピレーションとは違う観点から再考する試みを行い,とくに同時代の科学技術(無線,電話,X線など)とのかかわりから,シュルレアリスムの活動を歴史的に位置づけることで,文学や美術の問題を認識論的な布置におきなおすことを目指そうとした。 渡辺将尚はジークフリート・レンツのラジオドラマ「家宅捜索」と長編小説『パンと見世物』について論考を発表した。中村唯史はトルストイの『戦争と平和』における「崇高」の問題についての考察を論文にまとめたほか,国際スラヴィスト会議でエイヘンバウムの歴史認識について発表した。中村隆は博士論文についての報告の中で,ディケンズの「公開購読」を扱った。その他,前年度に日本フランス語フランス文学会東北支部で行った「声とテキスト」をめぐるワークショップでの活動の報告が同会同支部の会報に掲載された。
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