研究分担者 |
阿部 宏慈 山形大学, 人文学部, 教授 (10167934)
中村 隆 山形大学, 人文学部, 教授 (00207888)
中村 唯史 山形大学, 人文学部, 教授 (20250962)
渡辺 将尚 山形大学, 人文学部, 准教授 (90332056)
齋藤 哲也 明治学院大学, 文学部, 准教授 (10507619)
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研究概要 |
本研究の完成年度にあたる平成23年度には外部の研究者も招いた研究会が開催された。招待講師の成田雄太は,我が国における無声映画(活動写真)からトーキーへの移行時代の<弁士>の役割と位置について,群馬県太田市立新田図書館での資料の発掘成果をもとに報告を行い,弁士とトーキーの関係がふつう考えられているよりも複雑多様であることを指摘した。また,研究会で中村唯史は『戦争と平和』を手がかりにバフチンのトルストイ観を探り,両者それぞれの<声>との関わり方を解き明かしながら,「ダイアローグ」の思想の人とはまた別のバフチンの顔を浮かび上がらせた。 相沢直樹は大正時代の我が国で上演された『その前夜』劇をツルゲーネフの原作小説と比較しながら研究し,特に登場人物たちの<声>の現れの特異な形態である「歌」について論考の中で考察を試みた。阿部宏慈はヴィリエ・ド・リラダンからコクトーに至る,近代フランス文学における音声装置(グラモフォン、電話)の表象に「身体なき声」・「声なき身体」という対概念で切り込む研究を発表した。渡辺将尚は引き続きジークフリート・レンツを中心に戦後ドイツのラジオドラマについての研究を進め,その成果を論考にまとめた。中村唯史は『戦争と平和』を手がかりにバフチンのトルストイ観を探る試みを論考にまとめた他,内外でこれに関連したテーマやオリガ・ベルゴーリツの『昼の星』についての研究発表を行って,ソ連時代の知識人の〈声〉のあり方について一石を投じた。
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