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2011 年度 実績報告書

古典古代学を基盤とした「東方予型論」による包括的学問体系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21520312
研究機関筑波大学

研究代表者

秋山 学  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80231843)

研究分担者 秋山 佳奈子 (吉森 佳奈子)  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10302829)
キーワード慈雲 / 通語根性 / ビザンティン典礼 / 比較言語学 / 包括的学問体系 / 予型 / 啓き / 十字架
研究概要

代表者は今年度,慈雲飲光(1718-1804)を軸に日本仏教の戒律史・密教史・悉曇学史の総括を図るとともに,旧約聖書第二正典の一つ『シラ書』における「知恵」の本質,あるいは預言者エレミヤの神学とユダヤ教史家フラウィウス・ヨセフスの史観の通底性をめぐって展開した旧約研究に加え,サンスクリットからギリシア・ラテン語に及ぶ言語学的な通語根性(つうごこんせい)を空海の請来になる密教経典に基づいて語源学的に跡づけ,また典礼学研究の一つとしてビザンティン典礼に基づく叙階式テキストの翻刻を行った.このように,今年度における代表者の研究は仏教学・聖書学・比較言語学・典礼学等に及んでいるが,外国語(ハンガリー語,イタリア語)による研究発表としては,聖書学関係に集中して成果が挙がり,これらは欧文論文集「神学論集」として別途まとめられた.こうして,同一の研究者が一定期間のうちに多数の学問分野について研究成果を挙げうるという点にまず,代表者に研究遂行のための「包括的」視点が形成され,本企画の題目でもある「包括的学問体系」が築かれつつあるということが示されたと言える.仏教がキリスト教に対して「予型」の位置づけを獲得することは,西欧において既知の事柄に属するが,それを言語学的に,また典礼上の特質に照らして主張する点に研究代表者の独自性があり,今後はさらに,日本人の心性史の展開に沿って普遍なるものへの啓きが行われるよう努力したい.なお『ヨハネ福音書』第20章「復活のイエス」をめぐり,古代に遡るビザンティン典礼教会の聖書朗読暦と典礼式次第を踏まえつつ,同福音書のメッセージが「十字架上に生きる復活のキリスト」の共同体としての体現にあることを実証した聖書学の拙論は,典礼学と聖体論から新約聖書学に挑んだきわめて斬新な研究であるが,このような視点は国際的な評価を得て,第23回セゲド国際聖書学会の会友表彰を受けた.

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (2件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ギリシア・カトリック教会の叙階式-三位一体のかたどり:司教・司祭・助祭-2012

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      古典古代学

      巻: 4 ページ: 23-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 呉音から西洋古典語へ-第1部 印欧語文献としての弘法大師請来密教経典-2012

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      文藝言語研究 言語篇

      巻: 61 ページ: 1-81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 呉音から西洋古典語へ-第2部 梵語語基表と呉音読み漢字索引-2012

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      文藝言語研究 文芸篇

      巻: 61 ページ: 67-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フラウィウス・ヨセフスの史観~エレミヤ神学と古典史学史の止揚~2012

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 33 ページ: 121-144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『河海抄』の「万葉」2012

    • 著者名/発表者名
      吉森佳奈子
    • 雑誌名

      国語国文

      巻: 81-1 ; 929 ページ: 20-36

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『シラ書』における「知恵」-アレクサンドリアのクレメンスとパウロの神学に照らして-2011

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      文藝言語研究 言語篇

      巻: 60 ページ: 1-23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 慈雲尊者と戒律の系譜-筑波大学所蔵・慈雲自筆本『法華陀羅尼略解』を基に-2011

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 雑誌名

      文藝言語研究 文芸篇

      巻: 60 ページ: 1-26

    • 査読あり
  • [学会発表] A Bolcsesseg mukodese a Sirak fianak konyveben2011

    • 著者名/発表者名
      AKIYAMA Manabu, Janos
    • 学会等名
      XXIII.Szegedi Nemzetkozi Biblikus Konferencia
    • 発表場所
      Szeged, Hungary
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] Nagy Szent Bazil Szentiras-ertelmezese a szentsegek alapjan2011

    • 著者名/発表者名
      AKIYAMA Manabu, Janos
    • 学会等名
      A Magyar Patrisztikai Tarsasag XI.konferenciaja
    • 発表場所
      Kecskemet, Hungary
    • 年月日
      2011-07-01
  • [図書] 『シリーズ・世界の説教 古代教会の説教』:ヨアンネス・クリュソストモス『立像をめぐる第2の講話』『追放を前にしての講話』(小高毅編)2012

    • 著者名/発表者名
      秋山学
    • 総ページ数
      188-224
    • 出版者
      教文館(収録)
  • [図書] Teologiai tanulmanyok2012

    • 著者名/発表者名
      AKIYAMA Manabu, Janos
    • 総ページ数
      86
    • 出版者
      Tsukuba egyetem
  • [図書] "Testben elunk" : "A" kozossegert sajat eletet ado Jezus lelke" Janos Evangeliumaban : a bizanci ritusu egyhazban valo biblikus es liturgikus teologia tukreben"2011

    • 著者名/発表者名
      Manabu AKIYAMA, Janos
    • 総ページ数
      161-169
    • 出版者
      JATE Press, Szeged, Hungary(収録)
  • [図書] ORIGEN AS WRITER : "La "figura" tipologica vera nelle Omelie di Origene su Ezechiele"2011

    • 著者名/発表者名
      Manabu AKIYAMA
    • 総ページ数
      539-544
    • 出版者
      PEETERS, LEUVEN-PARIS-WALPOLE, MA(収録)
  • [備考] 第23回セゲド国際聖書学会・会友表彰(研究代表者の研究成果に関して:2011.09.09)

    • URL

      http://www.tsukuba.ac.jp/update/awards/20110913122102.html

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公開日: 2013-06-26  

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