研究課題
1.バルザック『セザール・ビロトー』およびこれと緊密な関係を持つ同時期の作品について関連書籍や資料を広く参照し、テクスト成立のクロノロジカルな諸段階やまたとりわけ当時の受容の状況について情報の整理を行なった。さらにバルザックの全集に関する主要な版本についても調査を行い、作者没後の同作品の受容についても広く確認した。2.生成論全般についての資料収集を行い、最新の調査方法論の進展を確認した。名古屋大学文学研究科グローバルCOE主催の国際研究集会「哲学的解釈学からテクストの解釈学へ」で発表し、生成論の解釈学的射程についてこれまでに解釈学者からなされた批判を踏まえながら論点整理を行い、解釈学や十九世紀文学の専門家たちと意見交換を行なった。3.フランス学士院図書館ロヴァンジュール文庫で『セザール・ビロトー』の作品生成資料を参照し、草稿および校正刷りの諸段階を整理し、関連箇所を転写する作業を行なった。また、この作品と関係の深い『ニュシンゲン銀行』の調査を行い、同じく生成資料の整理と重要箇所の転写を行なった。この調査記録をもとに同作品の生成過程の分析を行ない、研究ノートを作成し、また論文の準備を進めた。4.水声社から刊行された松澤和宏編『テクストの解釈学』に寄稿し、バルザックにおけるパラテクストの問題系を論じ、この中で『セザール・ビロトー』の生成における題名のプログラム効果について分析を行なった。5.関西バルザック研究会にて発表を行ない、『セザール・ビロトー』を中心としてバルザックにおける諸作品間の生成がいかなる布置構造を形成していたかを原資料に基づいて考察し、本課題の成果を包括的に提示した。
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すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件)
De l'hermeneutique philosophique a l'hermeneutique du texte(Kazuhiro Matsuzawa (dir.))(Universite de Nagoya)
ページ: 65-70
テクストの解釈学(松澤和宏編)(水声社)
ページ: 263-293
Entre la philologie et l'hermeneutique(Kazuhiro Matsuzawa (dir.))(Universite de Nagoya)
ページ: 83-89