研究課題
明治維新以降、日本は産業革命を実施しつつ都市の「近代化」に努めた。だがその「近代的都市」は在日外国人の眼には決して美しくは見えなかった(イザベラ・バードの『日本紀行』や『ベルツの日記』参照)。ピカピカの明るい都市は決して美しくは見えない。そう教えているのはゲーテで、彼は、色彩が光と影のあいだにあるように、町も光と影の両方を有していなければならないと考え、ヴァイマールの町づくりを行った。そのゲーテの都市論にもとづき、今後の日本は、陰影のあるコンパクトシティや古都保存を行わなければならないと主張した(『陰影礼賛の日本のまちづくり』)。イースタンブールで開かれた国際異文化独文学会(全体テーマは「メトロポリス」)における発表では、手塚治虫の『メトロポリス』とF・ラングの同名の映画を中心にしながら、両者が肥大しすぎた都市における人間性の抑圧と、それによって招来される世界の終末を問題にしていることを明らかにし、話題を呼んだ('Metropolis' im japanischen Manga und das Ende der Welt)。平成21年度における私の最大の学問的成果は、ヴァイマールにおける国際ゲーテ協会で基調講演を行ったことだった。世界で最高のゲーテ学者にのみ与えられるこの栄誉に日本人が浴したのは、私が初めてである。ゲーテの「世界文学」は、ヴィーラントのそれのように、単に世界各国の文学や文化を蒐集することではなく、世界各国と「対話」することにあったことを、膨大な資料をもとに明らかにしたこの講演は、絶賛を浴びた("Weltliteratur" bei Wieland und Goethe)。
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立命館哲学 21
ページ: 1-39
Goethe-Jahrbuch 126(近刊)
文明と哲学 2
ページ: 87-103
かつて科学と哲学はひとつだった
ページ: 3-6
Japan und die deutsche Kultur. Die Rezeption der Grimmschen Marchen und der deutschen Bildungsidee seit der Meiji-Zeit
ページ: 331-342
http://www.heian.ac.jp/education/yoshito/