昨年度作成したトレペレル家の構成員(Jean Ier Trapperel、Jean Ierの未亡人、未亡人と娘婿のJ.Jehannotの共同等)ごとの出版活字本のデータベースを網羅的ななものとするために、当時の活字本の最新成果であるFrench Vernacular Books等の書誌関係文献を参照し、Chantilly図書館及びフランス国立図書館の文献画像サイトGallica等で加筆・修正し、イタリアの各図書館に現存するトレペレル家による活字本等の調査を行った(バチカン図書館、フィレンツェ国立図書館)。結果、トレペレル家活字本データベースは参考となる活字本を含めて239点となった。 また今年度は、トレペレル家の活字本が広く流布していたはずのパリで印刷物・テクスト受容の実際を明らかにするために、当時のパリに住んだ二人のブルジョワの日記を分析して、彼らが日記記述においてトレペレル家が出版したような比較的「小さな印刷物」を利用していたことを明らかにし、これをまとめて論文として公表した。 平成23年度はトレペレル家活字本データベースを基にして、各出版書籍商のパラテクストの諸特徴を比較分析しながら、パラテクスト継承の実際と作者の表象におけるその役割を考察する。
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