研究課題
1)昨年に引き続いてLandesarchiv Berlinにおいて"Magistrat der Stadt Berlin,Abteilung fur Volksbildung"の資料に基づいて調査した。それに基づいて戦後ベルリンの劇場地図を1980年代まで完成させた。2)ベルリンのArchiv der Akademie der Kunsteにおいて、戦後の演劇人の活動を再構成するための資料調査を行った。3)戦後の日本における、国立劇場の構想の政治的・社会的背景に関する資料収集を行い、その成果を明治大学・ウィーン大学第9回共同シンポジウム報告書『都市空間と娯楽-東京・ウィーン比較都市論』のなかで「国立劇場の構想とコンセプト」と題して発表した。4)東ドイツの演劇界と日本のゲルマニストの関わりに関する資料調査を開始した。ベルリン側に資料が残っている可能性が高く、外務関連の古文書等の調査を遂行した。5)Siegen大学教授Helmut Schanzeと面談し、戦後ベルリンの劇場史分析の方法論的可能性について議論し、ナチ期の劇場政策についても視野に含めるべきとの助言を得て、これに関する関連資料を分析した。6)DAAD(ドイツ学術振興会)およびKRF(韓国学術振興会)の協力を得て遂行しているシンポジウム(バンベルク大学および同徳女子大学で開催)において当該テーマの一部について講演し、ドイツではジーゲン大学出版会刊行の著作"Von Goethe bis Grunbein im transkulturellen Dialog"(井戸田は編者の一人)にその成果の一つを発表した。また同徳女子大学人文学部に紀要"Journal of Humanities"から論文執筆の依頼を受け、当該研究の成果の一部を論文にまとめた。
2: おおむね順調に進展している
ベルリンおよび東京の戦後の劇場展開に関する地図作製は計画通り進んでいる。東京に関しては、小劇場の移動の状況を把握し、それを図示する必要があり、データ集積のところでやや困難に直面したが、文化地理学の専門家の協力を得られることが決まり、問題解決の糸口が見えている。ベルリンに関しては、壁崩壊以後の激しい変化についての情報収集につとめている。
1)ベルリンおよび東京の劇場地図の作製を進める。2)旧東ドイツの劇場政策に関する著書あるいは資料の発掘につとめる。3)戦後の東京の劇場展開に、政治団体や文化団体が関わった実体の分析を進める。(2)に関しては、資料に到達するのが難しい領域であるが、旧東ドイツの演劇事情に詳しい研究者とコンタクトがとれつつあり、その方向で問題解決に努める。(1)のところで、東京の小劇場の複雑な展開を図示する方法について、文化地理学の専門家と密接に連絡をとって遂行する。(3)は、オリジナル資料を得られるように努める。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
明治大学・ウィーン大学第9回シンポジウム報告書
ページ: 11-15
S.Itoda, R.Schnell, H.Y.Song (Hrsg.) : Von Goethe Bis Grunbein im transkulturellen Dialog(著書)
ページ: 134-156
Journal of Humanities.(韓国同徳女子大学刊行)
巻: 18巻 ページ: 223-233