研究概要 |
最終年度となる2011年度は、震災の影響により連携研究者のドイツ人研究者が緊急帰国するなど多少の量画計画変更を余儀なくされたものの、これまで同様に定期的に研究集会を開催して、テクスト、メディア、文化「における/間の」変容・翻訳プロセスについて、個別の詩や小説、演劇、美術など具体的な事例に基づいた研究報告を行なうとともに、先行研究の批判的な検討を進め、活発な議論によって問題を掘り下げていくことに成功し、当初計画で目指した研究実績をあげることができたということができる。 それと同時に、国内外から一線級のドイツ文学、メディア学、歴史学の研究者を招聘して昨年度に開催した国際シンポジウムで議論されたテーマを進化させて論集という形にまとめるために細部を詰めて行く作業を行なった。この編集作業には主として連携研究者の浜崎桂子とクリスティーネ・イヴァノヴィッチが精力的に従事し、研究責任者の山本浩司が補佐に回った。論集の内容を評価してくれたドイツの学術出版社シュタウフェンブルク社との出版契約も結ぶことができた。2012年度中の出版を目指して鋭意努力中である。 このほか,研究テーマの翻訳については、2011年度中に研究代表者の山本浩司がドイツ語圏の小説とアウシュヴィッツ体験記を翻訳上梓して、翻訳の現場の立場から貢献を果たすこともできたといえるだろうし、他方でこの翻訳は本研究による成果に負うところが大であったといえ、現場と研究の相互促進作用が理想的な形で達成できたと誇ることができる。
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