本研究は、19世紀後半から20世紀初期のロシアにおける文学生産の場の大きな変化と、当時のメディア・テクノロジーによる知覚様式の変容や、哲学、心理学などにおける知覚理論の発達との関係を、あらたな視点から確認することを目的としている。これまでのロシア文化史、文学史研究においてはこうした視点はまだほとんど普及しておらず、本研究はこの分野の先駆的試みと言えるものである。 本研究では、20世紀初頭のロシア・フォルマリズムに代表される文芸理論の新しい流れと、当時のメディア・テクノロジーや知覚理論との関係を解明し、さらに当時のロシア思想・哲学における表象・言語理論と、西欧の知覚理論との関係を検証した。
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