1.平成21年度は視覚芸術の観点からネルヴァルの作品及びネルヴァルが参考にした書籍の図版を検討して、研究計画の再構築を行った。 2.ネルヴァルが『東方紀行』を執筆する際に参考にした『ヒュプネロトマキア・ポリフィリ』(『ポリフィルの夢』)の原典、フランス語訳、英語訳、現代フランス語訳、現代英語訳の書籍、電子テキスト、CD-ROMを入手し、比較検討作業を行った。原典の電子テキストをフランス国立図書館電子テキストサイトGallicaからダウンロードして、それを検索可能なテキストに変換した。この作業により、ネルヴァルが原典ではなく、フランス語訳を参考にしたことを証明することができた。この結果を本務校の紀要に論文として発表した。また次年度に韓国・ソウルで開催される第19回国際比較文学会において研究発表を行う予定である。 3.ネルヴァルが作品執筆に際して影響を受けたヴァトー「シテール島への巡礼」及びデューラー「メランコリアI」の現物を鑑賞し、絵画と文学作品との関係を考察した。またネルヴァルと関わりのある画家や音楽家の作品及び研究書を検討した。
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