1.ネルヴァルが評論「ディオラマ、オデオン座」で言及したクール・ド・ジェブランの『原始世界』全巻を入手した。またフランス国立図書館電子テキストサイトGallicaから電子テキストも入手した。膨大な作品である『原始世界』の図版の中でネルヴァルに影響を与えたのは第8巻の巻末に掲載されているタロットカードの17番の星の絵だけであろうという推論を立てた。 2.イタリアの作家アリオストの『狂えるオルランド』がネルヴァルに与えた影響を検証した。19世紀に流通していたとされる『狂えるオルランド』のフランス語訳の書籍及び電子テキストを入手した。その中にはネルヴァルと交友関係があった挿絵画家セレスタン・ナントゥイユが描いた挿絵が多数収録されている翻訳もある。ネルヴァルが全作品において『狂えるオルランド』に関して言及した箇所を検討した。次にネルヴァルが『狂えるオルランド』と一緒に言及したコルネイユの『ポリュークト』及びヴォルテールの諸作品との関連性を検証した。検証結果を本務校の紀要に発表した。 3.イタリアの作家タッソの『解放されたエルサレム』がネルヴァルに与えた影響の考察を開始した。ネルヴァルが参照した可能性のあるフランス語訳の書籍及び電子テキストを入手した。 4.ネルヴァルが私財を投じて刊行した雑誌『演劇界』の中で第1巻、第2巻、第3巻の電子テキスト及び本を入手した。ネルヴァルが執筆した記事の特定は難しいが、当時の演劇状況を知ることができた。
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