研究課題/領域番号 |
21520360
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 道男 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20187769)
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研究分担者 |
山下 博司 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20230427)
藤田 恭子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (80241561)
佐藤 雪野 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (40226014)
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キーワード | ディアスポラ / アーカイヴ / 文学 / マイノリティ |
研究概要 |
・各研究対象のアーカイヴおよびアーカイヴに相当するコレクションの保存先を訪問し、その周辺機関とコンタクトをとり、アーカイヴの設立背景や維持の方法、マイノリティ文学の収蔵状況等について把握した。必要に応じて関係者とのインタビューを試み、資料を収集した。訪問先は以下の通り。○鈴木:トランシルヴァニア各都市の残存ドイツ文学アルヒーフ(シビウなど3箇所)、クルージ・ナポカ大学内カール・クルト・クライン遺贈文庫○山下:シンガポール国立図書館○藤田:ミュンヘン大学付属南東ヨーロッパ文化研究所等○佐藤:国立プラハ図書館および個人蔵書コレクション・フィールド調査の取りまとめの討議、本研究の主要な柱である「アーカイヴ形成と操作の問題」、「外的圧力と援助の問題」・「アーカイヴの学術性に関する問題」に関する討議と認識の共有を行い、アーカイヴの維持運営の母体、国家や州などの関与と介入について比較研究を行った。個別分野の調査の一例を挙げれば、トランシルヴァニアのドイツ人たちによる自立的かつ批判的な開かれたアーカイヴは、昨年マイノリティの「負の記憶」を暴き出す作品でノーベル文学賞を受賞したヘルタ・ミュラーの作品世界が成立した背景に照らしてみると、それを読み取る上でこの上ない資料庫であり、「負の記憶」をも無視しないその営為には、かかるアーカイヴの一つの規範をすら提示していることが示された。その運営の力学に関する研究が急がれる。 ・以上により得られた研究成果のうち、今年度中に発表しうる研究成果を刊行した。
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