日本占領期(1942-45)は、文学史上見るべき作品のない「暗黒時代」であったと、ビルマ国内では位置づけられてきた。本研究は、日本占領期に出版された雑誌、単行本小説等を可能な限り収集した上で、第一に当時の文学が果たした役割をいくつかの側面から解明し、第二に作家協会機関誌『作家』の役割をも考察した。第三に、占領期にビルマ国内で活動した文学・出版関係者のリストと出版書籍のリストを作成し、今後の研への布石とした。また、日本占領期の遺産である検閲制度の現代文学への影響についても考察し、総じてビルマ文学史上空白であった日本占領期の意義と位置づけを明確にした。
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