|
「四大奇書」の成立と変化の過程を解明し、社会の動きと関連づけることにより、当時の社会を多面的に理解することを目指すという目的を達成するため、当該年度の研究実施計画に沿って、『西遊記』の語彙の分布を調査し似通った性格を持つ部位を割り出すことにより、成立過程を検証する「西游記成立考」、なぜ三国時代が特に重要な芸能の題材となったのかを考察することにより『三国志演義』の成立事情について考察した「「三国」について-なぜこの時代が芸能の題材となるのか」のほか、「四大奇書」成立に至る出版と白話文学制作の変化を社会の動きに関係づけで総合的に論じた「明代に何が起こったのか」、更には次年度の計画を先取りして『水滸伝』の成立事情を論じた「『永滸伝』はなぜ刊行されたのが」という四篇の論文を執筆、既発表の業績とあわせて著書『「四大奇書」の研究』にまとめ、研究成果公開促進費を申請、支給を認められて、現在刊行準備中である。また、『水滸伝の衝撃』(勉誠社)の一章の執筆依頼を受けたことをきっかけに、元来三年目に計画していた戯曲との関係に関する考察を前倒しして開始し、「水滸雑劇の世界-『水滸伝』成立以前の梁山泊物語」を執筆、同書に掲載し、その後も明代戯曲と『水滸伝』の関係に関する研究を継続中である。
|
