最終年度である平成23年度は、当初より研究成果を情報発信する年度と位置づけ、そのハイライトである「顔」の表象をテーマにした講演会・シンポジウムを、平成23年12月17日(土)、勤務先の沖縄キリスト教学院大学で開催した(午後2時から5時の約3時間)。研究実施計画に沿ったプログラムは、県外から招聘した人類学研究者の基調講演の後、基調講演者に加え、県内外から招いた映画研究者、写真家、ヘアメーキャップアーティストの計4人のパネリストが登壇するシンポジウムを、研究代表者のコーディネイトで行うものであった。当日は学生、一般市民、研究者を含む約120人の出席があり、質疑応答では、フロアからの質問に対して、基調講演者、各パネリストが答える形式を取った。併せて、講演会・シンポジウムの当日をはさんで1週間、研究代表者の授業を受講している学生が撮影した「顔」の写真を展示する写真展を、勤務先大学内で開催した。 講演会・シンポジウム開催にあたっては、告知・宣伝を効果的に行うため、地元紙に関連記事掲載を依頼、パネリストの一人による「「顔」は何を語るか」が『琉球新報』12月4日付文化面(19面)に、研究代表者の「「沖縄」の現在探る」が『沖縄タイムス』12月15日付文化面(13面)に、それぞれ1000字前後の分量で掲載された。作成したポスター・チラシには、研究課題名を明記し、科研費を受けての開催である旨を記載した。以上のような情報発信を通じて、コミュニケーションの「場」としての「顔」に対する地域の関心を高めることができたと考える。日本マンガ学会(7月、高知)、日本顔学会(「フォーラム顔学」、9月、新潟)への学会出張は、最新の関連研究の情報収集とともに、パネリストとの打ち合わせを可能にさせた。本研究の展開は、「仮面」、「化粧」という「顔」の表象に隣接する重要なテーマも浮かび上がらせ、研究対象の幅を広げることにもつながった。
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