研究課題
研究の目的人間言語のチェイン構造解明のために、可視的連続循環移動を示すスペイン語のWH移動現象に関して、主語述語倒置とWH移動に相関があるかどうかを明らかにすること。そのために、スペイン語の母語話者のLuisa Marti博士と、統計学に造詣が深い横山悟博士と共同で調査に当たること。研究成果の具体的内容Torrego (1984)は、スペイン語のWH移動とそのWHが通過した途中の主語述語の倒置に相関があると主張している。一方、Uribe-Etxebarria(1992)は、スペイン語のWH移動と主語述語の倒置の間には、相関がなく、主節のWH句と述語が隣接していればよいと主張している。両者は、同じ構造のWH疑問文に対して、異なる判断をし、そこから、理論を構築している。本研究では、スペイン語母語話者は、実際に、ターゲットとなるWH疑問文について、どのような判断をするのかを明らかにした。19名のマドリード在住のスペイン語母語話者である大学生に、Visual Analogue Scale (VAS)法を用いた調査用紙を配布し、ターゲットとなる文について、そのスペイン語としての自然さの度合いを調査した。19名の内16名は、既に言語学を学んだことがあった。統計処理の結果は、Uribe-Etxebarria(1992)の予測を支持し、Torrego(1984)の予測とは相容れないことを示した。意義と重要性本研究の結果、スペイン語のWH移動と主語述語の倒置の間には相関がなく、スペイン語は、これまで、可視的連続循環移動を示す言語であると考えられていたが、そうではないことが明らかになった。この結果により、新たな重要な問題が浮上した。それは、Uribe-Etxebarria(1992)が正しいとすると、主節以外において、主語述語の倒置がなぜ生じるのかという問題である。
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