研究概要 |
本研究課題では,特に語彙ギャップ(ある言語における語彙に直接対応する語彙が別の言語において存在しないという現象)に注目することにより,概念語彙化の言語による差異を分析・記述するための方法論を明らかにすることを目的とする.本年度は,下記の2点について取り組んだ ● 具体的な語彙資源として,主にEDR電子化辞書(日英対訳辞書,英日対訳辞書)を対象として,訳語情報として与えられている表現が語彙化されているかを判定する検討を進めた.より具体的には,原言語(日本語)における見出し語に対する制約条件に記述のパターン,訳語(英語)の表記のバリエーションに関する分析を進めた.さらに,対訳辞書で与えられている英訳語が英語の意味辞書Word Netにおいて,どのように語義分けされ,説明・定義されているかを分析した.また,このような言語資源をオントロジーとして見なす観点から既存研究,および,今後の研究の方向性を解説論文(人工知能学会誌.依頼論文)としてまとめた ● 上記の結果をもとに,さらに多言語における語義,語彙概念の対応関係を表現するための枠組みについての検討を進めた.特に,対訳辞書や意味辞書などの言語資源が言語サービス化されている環境において,動的かつ漸進的に獲得される多言語間の意味概念間の対応関係を表現するための枠組みを提案し,さらに,これらの意味的な対応関係を二次的な言語資源とするための要件について検討した.以上の結果を国際会議IWIC2011(査読あり;会議録あり.採択率42%),および,国内研究会(査読なし;会議録あり)に発表した
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