本研究は、日常会話のなかで話し手が体験や出来事を語る場面を観察することによって、 1.聞き手との間でどのように指示対象の認識を確立するのか 2.指示を確立することが体験・出来事を語るという活動の達成にどのような影響を与えるのかについて考察することを目的とする。 H22年度は、昨年度収集した会話データを観察し、目的1に関して下記〈分析〉と〈考察〉を行った。 〈分析〉1.指示対象の認識を確立する相互行為(指示交渉)において、どのようなフォーマットが用いられ、その構成要素はどのような役割を担っているか (1)指示交渉はどのような表現形式によって開始・終結されるのか (2)指示交渉中どのような指示表現形式が選択されているか (3)その表現形式はどのような役割を果たしているか 2.非言語行動にどのような特徴がみられるか (1)ピッチに変動が起こっているか (2)会話参与者の視線がどこを向いているか (3)体や手はどのような動き・ジェスチャーをしているか 〈考察〉1.話し手が聞き手が指示対象を知っていると想定している場合と知らないと想定している場合では、どのような共通点や相違点が見られるか 2.話し手による聞き手の知識の想定が適切であったか否かによって、指示を確立するためにどのような交渉が行われるか
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