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2011 年度 実績報告書

照応理解の認知プロセスに関するメタ表示的分析

研究課題

研究課題/領域番号 21520408
研究機関九州大学

研究代表者

大津 隆広  九州大学, 大学院・言語文化研究院, 准教授 (90253525)

キーワード照応 / メタ表示 / 想定 / 呼び出し可能性 / 手続き的制約 / 類似性 / 直示表現
研究概要

言語的制御と語用論的制御という二分法に基づく従来の説明に対して、メタ表示の視点から手続き的意味を定義することで、動詞句照応の統一的説明を試みた。低次表示とメタ表示の間の類似性の視点は過小評価されてはならないであろう。照応解決(anaphora resolution)において、2つの想定の間の類似性は、それが最小限度の処理労力で最適な認知効果を生み出すという点で、関連性の見込みを満足するものである。しかし、一方でメタ表示的想定の呼び出し可能性とそれに要する労力は照応形のタイプや用いられ方により異なるというのも事実である。この問題に対して、呼び出し可能性と処理労力の違いは、低次表示とメタ表示の間の類似性の程度に起因するものであると考える。
深層照応と直示表現を同一視するかのような語用論的制御の考え方には早い段階から異論が唱えられてきた。両者の間で,聞き手の注意を対象に向けさせる働きは異なる。直示表現の指示対象がコミュニケーションの進行過程で活性化されるのに対して、深層照応の指示対象は認知的きわだちの度合いが高いという議論がなされる。Ehlich(1982:325-331)やCornish(1996:22)も一致して指摘するように、2つの言語表現は聞き手の注意の焦点(attention focus)を極めて異なる方法で操作しているように見える。直示表現は,聞き手の注意の焦点を談話において既存のものからコンテクストにより派生された特定のものへと変化させる働きがある。それに対して、照応表現は,注意の焦点を聞き手の頭の中にすでに確立されたまま保つように指図している。照応表現のこうした独自の働きは、低次表示としての発話や思考のメタ表示的想定に照応関係を結ぶという認知的理由によるものであろう。メタ表示という概念は照応表現と直示表現の理解のされ方を明確に区別することができる点で有効かもしれない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 照応とメタ表示-動詞句照応が符号化する手続き2012

    • 著者名/発表者名
      大津隆広
    • 雑誌名

      ことばを見つめて(英宝社、東京)

      ページ: 37-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relevance-theoretic Account of Anaphoric Processes : the Application of Metarepresentation and its Implications2012

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Otsu
    • 雑誌名

      The Said & the Unsaid : Papers on Language, Literature and Cultural Studies (University of Vlora", Ismail Qemali". Albania)

      ページ: 182-194

    • 査読あり
  • [学会発表] Relevance-theoretic Account of Anaphoric Expressions : Metarepresentation and the Accessibility of Contextual Assumptions2011

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Otsu
    • 学会等名
      12th International Pragmatics Conference(第12回国際語用論学会)
    • 発表場所
      The University of Manchester (England)
    • 年月日
      2011-07-04
  • [備考]

    • URL

      http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001753/research.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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