研究概要 |
「研究の目的」は,標準語および福岡西部・佐賀西部方言における「非過去」と動詞基底形の文法の考察であった。音韻,形態上の制約を提案し関連現象を説明できることを示す。文法を,言語学者との議論と簡易構文解析器における文法の実装とによって検証する。 目的達成に向け「研究実施計画」に従い,代表者は,2010年6月19日にChris TANCREDI 氏(慶応大学)とマンツーマン発表で議論を行った。2010年7月8日にWorkshop on Morphology and Fomal Grammar(プログラム委員長Olivier Bonami氏,パリ大学ソルボンヌ)にてポスター発表を行った。研究論文をNatural Language and Linguistic Theory (NLLT)に投稿したが,なぜ福岡・柳川方言では,例えば「食べる/tabe-ru/」が使われず,「食ぶるtab-u-ru」が使われるのかという問題が残っており,同誌に受理されなかった。(論文を修正し,本年度も再投稿したい。) 実証研究の面に関しては,連携研究者小野氏と研究代表者は,The 'non past' forms of two hundred sixty-six (266) verbs of Saga western dialect(原稿)を作成し,同原稿の佐賀西部方言の母語話者による発話(文中における動詞を含む)をThe sound data of the 'non past' forms of two hundred sixty-six (266) verbs of Saga westren dialectとして録音し,ホームページ*で聞けるようにした。 代表者は,『佐賀西部方言を「科学」しよう!:言語理論入門』(三恵社,120頁)を2011年3月に出版した。本科学研究の分析を第3章に含み,付録の83-93頁にはひらがなでの同方言の動詞の現在形と過去形の記述を含む。
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