九州の諸方言やインドの諸言語においては、語や文節などのまとまりが境界付近のピッチ変化によって示される仕組みをもつものが多い。これを境界特徴と呼ぶ。自発談話音声録音資料の分析を通じて方言ごとの境界特徴を分析した。九州諸方言に関しては、平安朝期以前の段階からの通時的変化として分布を説明することもできることが明らかになった。これは、九州諸方言が、本州方言のような位置アクセントを失ったのではなく、本来祖語のもっていった語声調的特徴のみを維持して位置アクセントを獲得しなかった、という可能性を示唆している。
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