研究概要 |
研究代表者は、研究実施計画に沿って、作成した談話関係を付与したコーパスに基づき、日本語の日常的な使用における基本的な談話関係の定義、訂正、精密化を検討した。また、近年ではツィッターのような短くリアルタイムでやりとりされるメッセージが注目されている。そこには、どのような談話構造が現れるかを、データを収集しつつ分析を行った。そして、すでに分析済みの新聞記事や日常会話などの談話構造との比較を行った。その結果、修辞関係ごとに見られる特徴の分析(特にゼロ出現に注目して)、メディアによる違いの分析(特に修辞関係の出現に注目して)、修辞関係を手がかりに談話構造の抽出を自動化するという課題が得られ、これは最終年度で検討することとした。 また、研究分担者は、形式意味論と認知意味論を統合する立場(白井,2009;Hamm, et al., 2006)から、テキストにおける時制の働きについて考察した。その際には、データとして英語の大規模コーパスを利用した。その結果、時制と動詞の意味アスベクトとの双方向的効果が確認され、語彙情報、構文情報、談話構造というように言語コンテクストをモジュール化して考えるという知見が得られた。 なお、備品費が予算額の90%を超えたのは、多忙のため予定していた出張が取り止めになったことと、大規模コーパスデータの記録および処理のため、高速なコンピュータが必要になったため、コンピュータおよび周辺機器の購入に費用がかかったためである。
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