H21年度は3年計画の初年度であり、計量計画研究所の丸元氏と共にシェッフェの一対比較法による下記の実験を策定し、一部外注((株)マクロミル)して実施した。 ・被験者は30代以上の男/女、50名程度ずつ、合計100名(当初計画60名を変更)。 ・発話意図としては、敬語規範ルール構築の際に用いた発話意図のひとつ:「説明する」を用いた。 ・アンケートの各設問には、敬語規範ルールの各ルールに記されている発話状況(発話に関わる人数(2~4名))×人物間の上下関係×人物間のウチ/ソト、の組み合わせで表現した人間関係)を模式図で示した。 ・各設問には、文の敬語的特徴として、主語の人物の敬称(有/無)、目的語の人物の敬称(有/無)、述語の属性(尊敬語、謙譲語I、謙譲語II、謙譲語I+尊敬語、常体、の5つ)、語尾の属性(丁寧語か否か)の各々に関する小設問が設定されている。 ・各々の小設問において、被験者は、各々の敬称あるいは属性が取り得る値の間での敬語的な適切さを比較し5段階の評点で回答するよう求められる。例えば、主語の敬称に関する設問では、 『図で示された人間関係における発話として、「C*がDに説明する」の、*に敬称("さん"/"様"など)を入れるべきか?』という質問を記した上、回答として『入れるべき/入れた方が良い/何ともいえない(あるいは両方ダメ)/入れない方が良い/入れるべきでない』のいずれかを回答させた。尚、述語は上記5つの属性値を取り得るので5つの値の全ての対の組み合わせを小設問として同様の回答を行わせた。 また、実験データ処理、およびシステム改良準備のための計算機環境がH21年度終わりから必要であることが分かったため、当初の計画にはないPCを1台購入した。当初の計画通りH21年度は実験策定と実施に専念し研究発表は行っていないが、H22年度にはH21年度の結果を受けた研究発表を行う。
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