研究概要 |
昨年度までに敬語規範ルールの妥当さの数値化、敬語誤用指摘システムの改良、及びiPhone/iPadへの移殖をおこなったが、今年度はこのシステムを更に改良し、スマートフォン向け敬語学習支援アプリ「KeigoRyoku」として2011年6月にApp storeで一般公開した。 本アプリは「選択式クイズ」、「記述式クイズ」、「学習モード」の3つの機能を備えている。クイズの形式で実装した理由は、敬語学習の初級者でも手軽に敬語に親しめるようにすることを意図したためである。発話に関わる人物は2名(話者、聞き手)~4名(話者、聞き手、話題になっている人物1~2名)の範囲で設定可能である。選択式クイズでは、システムが提示した発話意図と人物間の社会的関係を考慮し、敬語として最も適切な表現を3つの選択肢の中からひとつ選ぶようユーザに促す。記述式クイズでは、システムが提示した発話意図と人物間の社会的関係を考慮し、敬語として最も適切な表現を記述するようユーザに促す。学習モードでは、発話意図は提示されず,人物間の社会的関係もユーザが任意に設定できる。誤用判定の厳しさもユーザが自由に設定できる。ユーザは自分が設定した人物間の社会的関係を考慮し、敬語として最も適切な表現を記述する。 ユーザの回答に誤用が含まれる場合には、誤用の箇所、誤用の種類が表示される。特に選択式クイズにおいては正しい表現の例も表示される。 App storeで公開以降、2012年3月末時点までに本アプリは約9万件ダウンロードされた。現在、ユーザログを解析中である。今後はユーザログの解析を進め、ユーザの回答の傾向(誤用が多い表現の特徴など)を調べ、クイズ出題方針に反映させることにより、よりユーザに役に立つシステムにチューニングしていく予定である。
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