本研究では日本語発話文における敬語の誤用の有無を柔軟に判定できる計算機システムを開発した。このシステムは発話文の敬語的特徴と発話に係わる人物間の社会的関係(上・下×ウチ・ソト)との整合性を規定した規範ルールを用いている。各々のルールには日本社会における敬語規範としての妥当性の大きさが付与され、一定以上の妥当性の大きさを持つルールのみが用いられるように閾値を適切に設定することにより、誤用の判定が過度に厳格になされることを避けつつ妥当性の高い(即ち、学習の必要性が高い)規範ルールを優先して学習するようユーザに促すことができる。
|