• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

テキスト言語学的視点からのドイツ語助動詞文法化の多角的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21520426
研究機関筑波大学

研究代表者

黒田 享  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00292491)

キーワード独語 / 言語学 / 通時言語学 / テキスト言語学 / 助動詞 / 文法化
研究概要

23年度の研究においてはまず、研究初年度から行っているテキストデータベースの構築を継続した。23年度はNotker der Deutscheによる聖書詩編の古高ドイツ語訳、Otfrid von Weissenburgの『福音書』、中高ドイツ語による説教集"Speculum Ecclesiae"、H. J. C. Grimmelshausenによる"Simplicissimus Teutsch"といた文献をデータベース化した。これによって22年度までに作業を行った部分とも合わせ、ドイツ語の様々な歴史的段階において成立した文芸書や実用書、またその中間の性質を持つテキストを含んだ大規模なコーパスが得られた。これはドイツ語の各種助動詞の文法化の進行過程と文法体系上の位置づけの変化、そしてそうしたドイツ語史上の変化の流れとテキストの性格の関連について実証的に考察するためのデータを抽出する基礎資料になる。このコーパスから抽出した用例を基に各種助動詞の性質の歴史的変化とテキストの性格の関連について分析を行った。特に着目したのは、テンス・ヴォイス・アスペクトなどの範疇に関係する各種助動詞とそれと競合関係にある他の表現形式である。
23年度はまた、歴史的言語資料の性格を測定する方法に関して詳細に検討することもできた。この問題については、近年注目されている「歴史語用論」において盛んに議論されてきたが、本研究に関してはAgel/Hennig 2007が提唱する口語性測定モデルが特に有効であることが明らかになった。このモデルを用いることにより本研究も当初予定以上に効率良く進めることができるようになる。また、研究の途中成果をベルリン・フンボルト大学と上智大学において口頭で発表し、関連領域の研究者と詳しい意見交換を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の基礎資料となるテキストデータベースの構築は21年度から継続して行っているが、23年度までに当初計画よりもある程度順調に作業が進んでいる。また、これまでの研究の過程で当初の計画よりも効率的な分析手法が確立できたので、現時点で研究目的の達成に充分な規模のテキストデータベースが得られている。また、発表した中間成果に基づいて内外の関連領域の研究者から研究上の助言も得られ、研究は順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度が本研究課題の最終年度であるが、基礎資料収集が当初計画よりも順調に進んだため、今後は資料の収集よりも分析に重点を置いた形での研究を進めることにする。ただし必要性が明らかになった場合は、補完的な資料収集を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 完了形の文法化再考-文体の視点から-2012

    • 著者名/発表者名
      黒田享
    • 雑誌名

      慶応義塾大学日吉紀要ドイツ語学・文学

      巻: 49 ページ: 137-154

  • [学会発表] ドイツ語の二つの過去表現-日常語と文語を言語史的に見る2011

    • 著者名/発表者名
      黒田享
    • 学会等名
      シンポジウム「日常的な言葉遣い-ヨーロッパの言語をめぐって」
    • 発表場所
      上智大学ヨーロッパ研究所(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-28
  • [学会発表] Akkusativierung im Althochdeutschen2011

    • 著者名/発表者名
      Susumu Kuroda
    • 学会等名
      Insitut fur deutsche Sprache und Linguistik
    • 発表場所
      ベルリン・フンボルト大学(ドイツ連邦共和国)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-04
  • [図書] History and Typology of Language Systems ("Perfekt im Althochdeutschen, textlinguistisch gesehen"を担当)2011

    • 著者名/発表者名
      Susumu Kuroda (Michail Kotin, Elizaveta Kotorova, 他との共著)
    • 総ページ数
      424
    • 出版者
      Carl Winter

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi