研究課題/領域番号 |
21520436
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
井口 靖 三重大学, 人文学部, 教授 (90151638)
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研究分担者 |
恒川 元行 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (70197747)
成田 克史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (40128202)
黒田 廉 富山大学, 人文学部, 准教授 (00313578)
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キーワード | 連想 / コロケーション / 語彙 / 予測 / テーマ / コーパマ |
研究概要 |
今年度は方法論の検討と来年度からの本格的実施に向けての試行調査を行った。方法論については、これまでの先行研究も踏まえ、テキストや文に現れた語彙は連想に基づくネットワークを作っていると仮定し、本研究をイディオムや狭い意味でのコロケーションとは異なる「連想コロケーション」の探求と位置付けた。実際にコーパスを利用して、環境保護と自動車関連分野でこの「連想コロケーション」がドイツ語の語彙に関してどのように現れているかを試行的に調査した。他方、インフォーマントを用い、自由な会話において連想がどのようにつながっていくかを語彙的観点から調査した。この結果、テーマが定まったテキストでは連想がある程度コントロールされ、特定の語彙が用いられる傾向にあるが、そのテキスト内で1回限りしか使われない語彙(専門的な用語など)もかなりあることがわかった。また、自由な会話では連想が予想外の展開を遂げるが、それぞれの小さなテーマどうしは語彙的に関連があることが裏付けられた。 ただし、「テーマ」というのはきわめて曖昧な概念であり、聞き手は何を手掛かりにそのテーマを知り、その中での語彙を予測するのかという点は大きな問題である。この点に関しては、ドイツ語動詞beginnen(…を始める)のコーパスの調査により、4格目的語をとる場合には開始だけではなく、その後の継続や終了も話題にされる可能性があり、mit+3格をとる場合には開始だけが焦点化される傾向にあることが判明し、話し手は何らかの明示的な方法で聞き手にテーマに関する信号を送っている可能性があることが判明した。このような手掛かりを見つけることが今後の研究にとって必要であると思われる。 なお、これら成果の一部はそれぞれが編集に加わった独和辞典の記述に反映させた。
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