|
本年度も昨年度に引き続き中国甘粛省、青海省のモンゴル系孤立諸言語(河湟語)の全体像を明らかにすること、およびモンゴル系言語の歴史研究、言語接触研究に貢献することを目的に、佐藤と角道がそれぞれ以下の研究をおこなった。
佐藤は、保安語について下記の研究をおこなった。
1.8月甘粛省積石山県にて保安語積石山方言の現地調査を実施。
2.ピンインに準拠した『保安語漢語詞典』(収録語彙数約二千語)を保安族の若手学者とともに完成させ、試行版を保安族文化網から公刊。
3.接語muにおけるとりたて、および主題機能を解明。
角道は、土族語互助方言について下記の研究をおこなった。
1.8月に北京中華民族園にて土族語互助方言の調査を実施。
2.土族語語彙集を公刊。
3.土族語東山方言の特徴を整理。
4.現行の辞書類において取り上げられていないため意味が不明である土族語互助方言の語が用いられているコンテキストを調べ上げ意味を推定する作業を進行中。
これらの研究成果は保安語、土族の研究にとどまらず、今後のモンゴル系言語の歴史研究においても重要な意義がある。
|
