研究概要 |
(1)ドイツ語,英語に現れる無冠詞の単数可算名詞用法,その統語的・意味的・語用論的な特性について、特に、A=B形式(A ist B,A is B)のコピュラ文の述語名詞、および前置詞句内の無冠詞形式(ドイツ語ではins Kinoのような前置詞・定冠詞融合形も含む)の名詞について、ドイツ語と英語の共通点と相違について、先行研究を検討した。 (2)上記(1)の項目を検証するため,コーパス,Web上のデータ等を利用して,無冠詞可算名詞に関するドイツ語・英語のデータを収集して分類・分析した。具体的には、付加部の前置詞・無冠詞名詞(および融合形)は,場所空間,制度的場所,移動目標,様態・手段の意味などに分類できる(at,in,on,toなどの前置詞が多く使われ,ドイツ語でも対応するan,auf,in,zuが多用)。場所空間意味(移動目標)と制度的場所の意味を表す場合,対象物の不定の存在が含意され,さらに場所項に付随した習慣的・ステロタイプ的意味が加わること、特に談話照応と関連しない不定意味があることを示した。 (3)ドイツ語統語論・意味論等に関して国内で研究を進めている研究者(東京大学、千葉大学のドイツ語研究者グループ)と研究状況について、意見交流を行った。冠詞・名詞統語論・意味論に関して研究を進めているドイツの研究者(ミュンヘン大学Leiss教授、ウィーン大学Abraham教授等)と意見交流を行い,現在の研究状況について報告し、問題点・今後の方向性について議論した。 (4)これらを通して、無冠詞可算名詞が現れる条件を分類整理し,考察を行い、中間的な成果について、東京大学ドイツ語意味論グループにおいて発表した。また、2本の研究論文としてまとめた。
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