研究課題
本研究はインターネット上の日本語を分析対象とし、(1)マクロの視点からの定量的分析で今日のオンライン日本語の特徴を書き言葉、話し言葉との対比で捉え、(2)ミクロの視点からの質的分析として、オンラインコミュニケーションに焦点を置き、オンライン日本語使用者の対人言語行動を質的な分析で明らかにすることが目的である。22年度の研究実績として、(1)については、コーパス言語学的手法により、書き言葉、話し言葉とオンライン日本語の関係を定量的に明らかにし、国際学会proceedingsに掲載した。具体的には現代の日本語は「話し言葉」から「オンライン日本語」さらに「書き言葉」へと連続体を成していることが計量分析で検証された。英語圏での研究に比べて日本語にする計量分析研究成果が非常に少ない中、日本語におけるバリエーションについて、英語における研究成果と量的に比較可能な結果を提供し、且つ国際的に認知される形で発信したことは大きな意義がある。(2)については、第一にインポライトネスが、その参加者の「フェイス」と「アイデンティティ」とどのようにかかわるか、に関して、日本語オンラインコミュニティからの新しい知見を明らかにした。第二に日本語オンラインコミュニケーションに日常的に起こる誤変換現象について、英語圏において構築されたユーモア理論に基づき、英語圏研究者に対して発信を行った。第三に非標準的表記が観察されるケータイ等のオンライン日本語で、その使用と使用者の対人言語行動との相互関係を明らかにした。以上を国際学会で発表したが、これらは国際的に殆ど知られず、欧米研究者が経験したことのない現象であるためオンライン言語行動に関する日本語社会言語学研究を国際的に広めた点において意義があり、反響も大きかった。
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Proceedings of the Corpus Linguistics Conference CL2009(eds by Michaela Mahlberg, Victorina Gonzalez-Diaz and Catherine Smith.)