研究概要 |
本年度行った研究活動は,現地調査・学会報告・論文執筆の3つである。 (1) 現地調査:音声・語彙の確認と文法調査を,台湾新竹県竹北市にて2010年8月1日~8月7日および2011年3月7日~3月12日(地震による飛行機欠航のため実際の帰国は14日)の2回,計10日間おこなった。語彙については,前年度に引き続き最終確認作業をおこない、全体の約9割程度を終えることができた。文法調査は,本年度は主として結果補語動補構造、およびモダリティ標識「有」・ヴォイスの調査をおこない,多くの有益なデータを得ることができた。 (2) 学会報告:国外(米国・ボストン)と国内(東京)でそれぞれ1回おこなった。内容はいずれも文法に関するものである。アメリカでおこなわれたIACL-18 (International Association of Chinese Linguistics)では,前年度までの調査に基づき,様態補語構造についての報告をおこなった。海陸客家語における様態補語構造には(1)V+「倒」+C、(2)V+「到」+C、(3)V+Cの3種類があり、意味的に重なり合いつつも相異点があることを明らかにし、「到」「倒」については,新たな文法化の経路を提案した。また,国内は、日本中国語学会第60回全国大会(神奈川大学)において、海陸客家語の結果補語構造のVとRの構造的一体性が、北方漢語と比較して低いことを指摘した。 (3) 論文執筆:学内の出版物と国外の学会論文集に各1本執筆した。内容はいずれも補語に関するものである。中央大学人文科学研究所叢書に掲載のものは,補語全体を記述し、考察したものである。国外では、IACL-18で発表した原稿をThe paper to the proceeding of NACCL-22 and IACL-18に投稿した。
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