研究課題
平成23年度は、1.関係節に/-am/(シュメール語のbe動詞にあたるもの)が付加される構文を再考し、2.シュメール語文法の通時的な特徴を把握するために、これまであまり考慮にいれてこなかったシュメール初期王朝時代ラガシュ出土の文書をひろく読み、3.シュメール語コーパスの第一段階を完成させて、コーパス・サーチ(http://corpussearch.sourceforge.net/)をそこで使えるようにした。1."Sumerian relative clauses with anticipated arguments : A null analysis"(内容については昨年度の研究実績の概要を参照)を脱稿した(ベアトリス・サントリーニと共著)後、関係節+/-am/を含む文の抽出・分析に従事した。そして、シュメール語のこの構文は、日本語の「のだ」構文に類似するのではないかという分析結果を得、それを7月にローマで開催された国際アッシリア学会のシュメール語文法ワークショップで発表した。2、関係節に付加されるとは限らないが、/-am/が初期のシュメール語文書にかなり一般的に見られることを理解した。3.ペンシルヴァニア大学のスティーヴ・ティニー、ベアトリス・サントリーニ、アンソニー・クロックとの共同作業の結果、およそ100のグデア・テキストからなるThe Penn-Chuo Parsed Corpus of Sumerianが、シュメール語のコーパス作りの第一段階として完成に近づいた。そのウェブページ(http://oracc.museum.upenn.edu/pccss/corpus)は、まだ公にはなっていないが、タグ・リストと注釈マニュアル(http://psd.museum.upenn.edu/ppcs/models.html)の改訂後(この作業は現在唐橋が行っている)、The Open Richly Annotated Cuneiform Corpus(http://oracc.museum.upenn.edu/index.html)の一貫として公にされる予定である。現在、コーパス・サーチは、ウェブ・インターフェイス"Form for querying parsed text with Corpus Search"(http://csearch2.ling.upenn.edu/SUMERIAN/queryparsed.shtml)とコマンドライン・インターフェイスの2通りによって実行可能である。
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From the 21^<st> Century BC to the 2^<st> Century AD : The Present and Future of Neo-Sumerian Studies
巻: (掲載決定)(印刷中)
Linguistic Method and Theory and Languages of Ancient Near East
http://psd.museum.upenn.edu/ppcs/models.html
http://csearch2.ling.upenn.edu/SUMERIAN/queryparsed.shtml