本年度はおもに海外出張による資料収集に基づいて論文執筆、研究発表、図書発行を行った。以下の概要を記す。 8月15日~9月13日の日程でインドネシアの南スラウェシ州、中スラウェシ州、東南スラウェシ州、マレーシアのクアラ・ルンプール、サラワク州において言語調査状況の調査、文献資料収集を行った。南スラウェシ州においては言語研究所等に加え、地元図書館に所蔵されている文献を調査した。中スラウェシ州では、昨年に引き続き言語研究所を中心に研究状況、文献調査を行った。東南スラウェシ州では州都クンダリの言語研究所および地元図書館で調査を行った。マレーシアのサラワク州において、大学、図書館で文献調査を行った。クアラ・ルンプールでは国立図書館を訪れ、マレーシアにおける言語調査の情報を得ることができた。 以上の調査において、南スラウェシ州ではについては、地元の大学での調査、東南スラウェシ州についてはムナ・ブトン、ウォトゥ・ウォリオ語群をより詳しく調べるために州南部を訪れる必要性を感じた。マレーシアについては、より多くの南スラウェシ、東南スラウェシからの移住者が住んでいるサバ州の調査の必要性を感じた。さらに、今年度はイスラム教の断食月にあたっていたため不可能であったが、クアラ・ルンプールのマラヤ大学も調査する必要があると思われる。 本年の調査成果は(昨年度の調査成果も含め)、書籍発行、論文、学会(国際学会を含む)で発表された。本研究の目的の一つである、これまでに科研費で収集した資料の整理・公表として、新資料も加え「マッセンレンプル語の(方言)対照文法」の出版を行った。また特筆すべきこととしては、7月18-20日には東南スラウェシ州のバウバウ市で行われた「東南スラウェシ州の地域語国際学会」に招聘され発表を行った。
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