研究概要 |
初年度から運営してきたSNSコミュニティ「日韓役割語相互学習倶楽部」の活動を現在も続けている。現在の活動メンバーは、韓国人日本語学習者6名、日本人韓国語学習者5名、現職日本語教師のサポーター4名で構成されている。具体的には、「役割語」をテーマとした、日本語漫画の韓国語訳という課題翻訳活動を行った。活動は,ペアによるレビューと、全体でのコメント合戦という2つの方式を織り交ぜて行われた。その中で,互いが学習者でありながら支援者であるというメリットが活動の質の向上に十分に生かされていたことが、参与観察の結果明らかになった。 上記の活動から得られた情報をもとにした「日韓役割語対照研究」における研究成果を、学会発表やシンポジウムを通して報告している。いくつかの具体例をあげると、以下のとおりである。 (1)「2010世界日本語教育大会(台湾国立政治大学):現代の日本語学習者の学習動機やネットコミュニティなどの発展に照らし合わせてみたときに、大衆文化作品に多く表れる「役割語」を日本語教育の指導現目として取りあげることへの意義を唱えた。 (2)第35回日本語教育方法研究会(金城学院大学):SNSコミュニティ上でのCMC活動が言語学習に有効であることと、学習者&支援者というダブルロールを設定することで起こる相乗効果について、具体的な活動例をあげた上で明らかにした。 (3)公開シンポジウム「役割語・発話キャラクタ研究の展開」(大阪大学):ペアレビュー、コメント合戦といったCHC活動の中で、学習者の役割語に対する意識がどう変化していったのか、学習がどう進んだのかに注目し、本活動が学習者の気づきとスキル向上に役立っていることを証明した。
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