(1) 1年目として、高知県・愛媛県・香川県・鳥取県・広島県の5県の調査をほぼ完了した。広島県は資料が多く、すべてを終えられなかったため、図書館相互の貸借サービスを利用して、未調査の複数の方言辞典を精査予定である。広島県の場合、県立図書館に県立文書館が併設されているため、郷土資料がより充実している印象を受けた。今後、こうした施設が整備されている県については、とくに効率的に調査を進める必要に迫られるだろう。 (2) 当初、該当部分はコピーをとる予定であったが、作業そのものに時間がかかるため、これを省略し、購込した軽量のノートパソコンを常に携帯し、直接入力して労力と経費の節減をはかった。この軌道修正は2年目以降の調査に大きく影響を与えるため、入力に際しては写しまちがいがないように細心の注意を払う必要がある。 (3) 資料によって、重ねことばが多く採られているものとそうでないものがあるように見受けられる。地域性の反映かどうかという視点は慎重に導入するつもりだが、おそらくなんらかの地域性は存在すると思われる。まだ、四国・中国地方の一部にとりかかった状況ではあるが、その手応えは十分に感じている。 (4) 「重ねことば」と認定できるかどうか、語によっては判断に苦しむ場合も出てきている。同形反復ではなく、一部が変化した異形反復を基本概念とするが、形態・意味上の範疇化を今後厳しく規定していく努力を重ねなければならない。最終的には範疇外となる可能性語句を含めて、広く弾力的に採録するのが肝要と考え、現段階ではできるだけ多くの語句を採るよう心がけている。 (5) 4年目までに47都道府県野調査を終えるためには、スピードアップが欠かせない。今年度で調査の進め方の要領がつかめたので、来年度からは調査地点数を一挙に増やして、工夫をこらした能率的かつ密度の高い調査活動に邁進したい。
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