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2011 年度 実績報告書

首都圏方言の実態に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21520478
研究機関神田外語大学

研究代表者

木川 行央  神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 教授 (50327186)

研究分担者 久野 マリ子  國學院大學, 文学部, 教授 (90170018)
キーワード首都圏方言 / アクセント / 東京語化 / ラ行音の撥音化 / 発音の変化 / 連濁
研究概要

本年度は、神奈川県小田原市穴部において多人数調査を行った。調査項目はアクセント55、音韻36、文法9,語彙4項目で、調査協力者は86歳から11歳までの72名である。この調査によって、アクセントには東京語の古い型が老年層を中心に発音されることが確認できた。また、音声項目のうち、連濁については現在の東京語ではあまり見られなくなった形が用いられていることも確認できた。このように、東京より古い姿が見られる一方で、若年層を中心に東京語と同じ変化を示すものの存在も認められた。さらに、「雰囲気」のフインキ、「原因」のゲーイン、「体育」のタイクといった発音は高年層にも見られ、首都圏方言の伝統的方言に既に存在していた可能性を示唆する可能性があることも示すことができた。また、ラ行音の撥音化は、関東全域はじめ全国に広く見られる現象であるが、神奈川県小田原市の方言では他の方言より多くの環境で撥音化が見られる。この撥音化の現象の現状も、多人数調査によって確認した。その結果、小田原市方言では、他の関東方言によく見られる、n音で始まる形式の前だけではなく、他の音で始まる形式が後接する場合にも撥音化すること、この現象は現在の若い世代においても見られること、その使用には性差があること、その原因として撥音化した発音に対する意識が関与していることを明らかにした。
これらの事象については東京語についても詳細な調査研究がないものであり、東京および東京周辺の言葉を考えていくときの、基礎となるものと考える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 神奈川県小田原市方言におけるラ行音の撥音化2012

    • 著者名/発表者名
      木川行央・久野マリ子
    • 雑誌名

      神田外語大学言語科学研究センター紀要

      巻: 11 ページ: 89-101

  • [雑誌論文] 神奈川県小田原市方言におけるいくつかの音声現象の動向2012

    • 著者名/発表者名
      久野マリ子・木川行央
    • 雑誌名

      神田外語大学大学院紀要言語科学研究

      巻: 17 ページ: 11-29

  • [雑誌論文] 静岡県松崎町方言のアクセントにおける「ゆれ」の実態-語アクセント調査と談話資料の観点から-2011

    • 著者名/発表者名
      木川行央
    • 雑誌名

      音声研究

      巻: 15(3) ページ: 48-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 首都圏方言における大学生の言語生活-挨拶表現と音声変化の例-2011

    • 著者名/発表者名
      久野マリ子
    • 雑誌名

      國學院雑誌

      巻: 112(5) ページ: 1-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第二言語習得における弁別的特徴と余剰的特徴-台湾母語話者の清音・濁音と有気音と無気音の聞き分けについて-2011

    • 著者名/発表者名
      久野マリ子
    • 雑誌名

      國學院雑誌

      巻: 112(12) ページ: 40-53

    • 査読あり
  • [学会発表] 首都圏方言の伝統的古相の記述とその変容-小田原市穴部方言の音声-2012

    • 著者名/発表者名
      久野マリ子
    • 学会等名
      「首都圏の言語の実態と動向に関する研究」研究発表会
    • 発表場所
      国立国語研究所
    • 年月日
      2012-03-12

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公開日: 2013-06-26  

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