本年度は昨年度に引き続き、幕末から明治前半期にかけての英学会話書関連資料の基礎調査を行った。本年度の主な活動は資料調査のための国内出張と資料整備であった。 国内出張については、2013年3月に鹿児島大学付属図書館、玉里文庫において、関連貴重書の閲覧を行った。玉里文庫には、直接の英学会話書としての資料、あるいは、英学関連の資料は多くないものの、英学会話書の成立の原本となった書籍、近世後期の英語以外の海外との交流に関する記述(会話に関する箇所も含む)が記されている写本・版本が存在し、それらの閲覧を行った。 資料整備としては、主に三つの活動を行った。第一は、昨年度から引き続き、目録整備を行い、資料群の把握を行った。特に、版権目録等からの資料の抜き出し、入力などの整備を進めた。第二としては、第一の活動と平行して、国立国会図書館近代デジタルライブラリーを中心として、明治前期におけるにおける会話書類のデータ収集を行った。第三としては、部分的ながら、収集したデータから、富田源太郎の著作を中心に、資料のデータ化に着手した。富田の著作は、出版状況などから、当時の認知度が高いものと想定され、資料群の中においても、ひとつの中核的な著作であることが期待される。当初、個々の著作のデータ化については作業の予定をしていなかったが、作業を進めていく中で、内容の検討と資料群全体の把握は両者ともに欠かせないものであることに思い至った。資料群の把握に重点を置きながら、収集した資料のうち、有用な資料については、内容の検討を行い、その利用方法を模索することで、そこで得られた知見を、さらなる資料収集、資料整備につなげていきたいと考えている。
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