研究概要 |
本研究は生成文法ミニマリスト・プログラムを理論的基盤として、インターフェースレベルの操作を言語計算機構CHLの不完全性を修復する機能の観点から考察し、インターフェースレベルの判読可能条件の実証的解明に寄与し、言語機能FLの最適性の性質およびその度合いの解明に寄与することを目標とする。平成22年度は、前年度に整備された研究基盤を土台とし、新たな方向への研究拡充を行い、理論的基盤研究、個別テーマ研究、文献・研究情報の収集および整理を拡充し、平成23年度の研究総括へ向けての一定の見通しを得ることをめざして研究を行った。具体的研究成果としては、金子(2009)において、TPの外部に、遂行分析における遂行節に相当する遂行句PfmPの存在を主張する分析に基づいて、Haegeman(2003,2006,2010)における一連の条件節の分析を批判的に検討し、それらの分析の不備を指摘した。また、ある種の条件節は主節よりも外部のPfmPに生起するにもかかわらず、主節内部に生起する条件節と同一の内部特性を示すことから、PfmPは、主節を構成する一連の機能範疇群に属するものではなく、主節を埋め込む「節」としての特性を持つことを明らかにした。その成果は、Kaneko(2010)および金子(2011)として発表した。このほか、Grohaman(ed.)(2009) InterPhases: Phase-Theoretic Investigations of Linguistic Interfasecをはじめとする、インターフェースに関わる理論的・実証的研究の批判的検討を行った。
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