研究概要 |
本研究は談話における分裂文に見られる認知的・語用論的特性を関連性理論,及び認知言語学の観点から明らかにし,現代英語の分裂文(cleft sentence)の談話における機能と解釈に関わる推論過程,及びその原理を解明することを目的とする。 平成21年度は,分裂文の総記的含意を取り上げ,英語分裂文の総記的含意を巡るこれまでの議論を概観し,(i)否定分裂文における総記的含意,(ii)分裂文の焦点に生じる焦点下接詞,及び付加下接詞と総記的含意の却下可能性について,実際の談話から収集した会裂文を詳細に分析し,英語分裂文の総記的含意は,会話の含意であると考えられることを明示的に論証した。 否定分裂文,不定名詞句,焦点下節詞の具体例を挙げてその総記的含意の却下可能性を論じた。このうち*What George saw was something.は変項の値を指定できないため,また,evenの例.*It was even John that Mary kissed.は焦点要素の意味と分裂文の機能が両立しない理由で容認できないことを指摘した。総記的含意が却下されないために容認できない例は??What they found, however, was technology and innovation geared at the Mac, among other things.のみで,これ以外の例は総記的含意が却下されていると考えられる。これらのことから,総記的含意は言語規約的含意であるという立場は支持することができないと結論付けることができる。
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