研究概要 |
節と名詞表現の類似性と相違を最新の生成文法の理論的観点から解明することを目的とした本研究の最終年度である平成23年度は、節と名詞表現の並行的構造に対して、極性、演算子のスコープの問題を射程にいれた総括をおこなった。特にRizzi(1997,2004)のCPを複数の機能範疇に分割する分析(CP分割理論)とChomsky(2008)のミニマリスト・プログラムにおけるフェーズ理論に照らし、その構造研究の理論的意義と言語事実に対する新たな視点を提供するために、否定文、疑問文と派生名詞表現におけるCP phaseとvP phaseならびにDP phaseとnP phase内の極性と演算子のスコープ関係にかかわる現象の派生過程に焦点をあて、節と名詞表現の内部構造を明らかにして、本研究を総括した。 具体的には、本研究代表者が英語との対照研究を目的とし、日本語の方言(熊本弁)をデータとして否定文の内部構造を考察し、Pol, Neg, Top, Focusといった機能範疇の階層性を検証し、節構造の派生と再構築に関して新たな提案を行った。その成果の一部は西岡(2011)において日本英文学会シンポジウムにおいて口頭発表し、Proceedingsにまとめた。また、分析の理論的意義を西岡(2012a)においてフェーズ理論に照らして明らかにし、さらに、極性、演算子のスコープ現象において例外的と思える現象に対して、西岡(2012b)で本研究の示唆するところを示した。分担者は、派生名詞句の派生過程と名詞の定性に焦点をあて、名詞表現の内部構造から機能範疇とフェーズの働きを明らかにした。その成果は、増冨(2011)、増冨(2012)として公刊した。.
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