研究概要 |
「研究計画調書」および平成22年度「研究の目的」「研究実施計画」に則り、(1)平成22年8月23-27日開催の第16回国際英語史会議(於ペーチュ大学、ハンガリー共和国)において、"A History of the Auxiliary do Occurring in Affirmative Imperatives in Late Modern English[後期近代英語命令文における助動詞doの歴史]"と題する口頭発表を行った。肯定命令文で使われる助動詞doが辿ってきた歴史に関して、主に1500-1900年に書かれた150冊の日記・書簡資料の調査結果を発表し、日記・書簡資料の調査が英語史の修正に多大な貢献ができることを示した。具体的には、Do+動詞,Do+you/thou+動詞,Do+副詞+動詞など、英語史の中で発見した10個の統語的異形の型と頻度を50年刻みに示しながら、歴史の中でどのような意味・統語論的環境下でどの程度使われ今日に至っているかを明らかにした。他に大規模な類例研究はなく、未踏の分野を克明に明らかにした功績は大きいと、特にドイツ・イギリス・フィンランド・デンマークの学者から受け入れられた。〔次頁「学会発表」の項参照〕(2)拙論"Uncovering of Rare or Unknown Usages : A History of seem Meaning 'to pretend'"所収のLanguage Change and Variation from Old English to Late Modern English(Frankfurt : Peter Lang)が刊行された。〔次頁「図書」の項参照〕(3)秋元実治・前田満編『構文化と文法化』に原稿「否定命令文の歴史的発達-V not型からdo not V型へ」(A4判40頁.2010年9月に脱稿)を寄稿した。現在出版社と詰めの段階であると聞いている。(4)春と秋の学会シーズンには、現有研究費を執行し、近代英語協会第27回大会、日本英文学会第82回大会、日本英語学会第28回大会に出席し、最新の学説の吸収に努めた。日本英文学会中部支部第62回大会では、2件の研究発表の司会を務めた。(5)これら以外にも、「prevent/save/stop/etc.+目的語(+from)+動詞-ing」構造の用例収集を行い、構造別、意味・統語論的範疇の別、史料別、50年単位別に分類した。近い未来に、まずは学会口頭発表を通じて成果を公表したい。
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