研究課題/領域番号 |
21520512
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
中村 不二夫 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20149496)
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キーワード | 英語史 / 近代英語 / 日記・書簡 / 文法変化 / 助動詞 / 語彙変化 |
研究概要 |
「研究計画調書」および平成23年度「研究の目的」「研究実施計画」に則り、(1)国際会議で口頭発表を行った。おのおのの助動詞の縮約形がいつ頃どのような順序で確立し拡散していったかを、129冊の日記・書簡資料の網羅的調査とOxford English Dictionary on CD-ROMの分析結果を示した。総13,528例が根拠になっている。質疑応答の中で、大規模な類例研究は他になく、未踏の分野に踏み込み新事実の発見をした功績は大きいと、特にベルギー・ポーランド・フランスの学者から賞賛され、本研究課題が英語史の新事実の発見や修正に多大な貢献ができることを確信した。(2)論文を公刊した。(以上、詳細は「13.研究発表(平成23年度の研究成果)」の項を参照のこと。)(3)2010年9月に脱稿していた著書(分担執筆)「否定命令文の歴史的発達-V-not型からdo not V型へ」(秋元実治・前田満編『構文化と文法化』、原稿はA4判40頁)が、日本学術振興会から出版助成をいただくことが決定し、近々ひつじ書房から出版の日の目を見ることとなった。(4)春と秋の学会シーズンには、現有研究費を執行し、近代英語協会第28回大会、日本英文学会第83回大会、日本英語学会第29回大会に出席し、最新の学説の吸収に努めた。(5)交付申請書に「動詞haveの進行形の歴史と、「研究の目的」欄に記載されている、I not say型否定平叙文の歴史についての研究結果を研究機関の雑誌に公刊したい。さらに、今年度は、新たにbelovedの網羅的な用例収集に着手し、用例の電算化・統計処理、資料別・時期別分類、用例打ち出しを行い、論文公刊に向けて準備を整えたい。」 と書いたが、歴史の中のある時期の用例が十分とは言えず、聴衆を圧倒できるであろうほどの用例にまだ恵まれていないため、1万例を越えるまでもうしばらく用例収集を続けたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本務校の通常の教育業務に加え、スタッフ27名を抱える本務校英米学科主任としての公務と、会員250名を擁する近代英語協会の事務局長として協会を管理統率する仕事の傍ら、国際会議口頭発表1件と論文1点を公刊することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2月に、ヨーロッパにおける私の研究発表のホームグラウンドである国際英語史会議(第17回、2012年8月20日-25日、於チューリヒ大学、スイス)とヨーロッパ言語学会(第45回、2012年8月29日-9月1日、於ストックホルム大学、スウェーデン)から口頭発表許可通知が届いたので、本研究課題がいかに意義深いものであるかを示してきたい。前者の応募者数は知らされていないが、後者は600人の中から選ばれた100人のうちの1人であり、大変名誉なことである。
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